Viper 330V は、車のキーのリモコンでセキュリティをかけるタイプのセキュリティです。
セキュリティ用にリモコンを増やすなんてのは私は絶対に嫌なので、このタイプ縛りです。
このタイプで一番メジャーで実績があり、価格も手頃なのがこのViper 330V だと思います。
ただこれ、リモコンエンジンスターターと併用出来ません。
なので出来る様に改造しようと思います。
その前に。
2014-11、セキュリティを車に取り付け動作確認してみると、セキュリティONで何と誤動作の嵐。
キーレスエントリーでロック=セキュリティをかけた瞬間、振動センサーが反応してサイレンが鳴る時がちょこちょこあります。
ロックの振動を検知してしまっている訳ではありません。電気的なノイズの様です。
この車にもお気に入りの中華ドラレコ装備なのですが、これが毒電波を出している事はわかっています。一応軽くEMI対策済み。
キーオフしてから10秒後までこのドラレコが動いているのですが、どうもその間にセキュリティをかけてしまうと誤動作する様な気がします。
その他に、中華ナビ、純正ルームライトの減光パルス制御も影響あるかもしれません。
この程度のEMSでセキュリティが誤動作なんて考えられませんが、一応ノイズ対策してみます。
まず振動センサー部。
このポリウレタン線が巻いてある部品がこのセキュリティの振動センサーです。
このセンサーの中に、シリコンのホルダーの中で動き回る金属の塊があり、塊が動くとコイルに電圧が発生するしくみです。
放射ノイズの影響から逃げる為、この部品ごと銅テープでシールドしてGNDに落としてみます。
おっとピンボケ。
このセンサーの電気信号を受け止めているコンパレーターICの電源入力部にノイズ除けのコンデンサがありません…。
普通入れると思うんですけど…。基板裏のIC直下に104入れておきます。
他にも伝導ノイズ対策として、電源(Batt)、Acc(信号線)、ドア開信号線に104を入れました。
それから気になる所が、感度調整の可変抵抗の可変の端子が浮いています。
万が一の接触不良を考えて固定抵抗部のどちらかに落とすものだと思うのですが。落としておきます。
配線にはクランプフィルターを取り付けておきます。
ドラレコの方にもクランプフィルターを取り付けて、これでちょっと様子見。
誤動作は無くなった様な気がします。
2015-10、まだ誤動作します…。もうちょっと調べてみます。
電源ラインがアヤシイ。セキュリティの常時電源の電圧波形 (Battery input) を確認してみます。
あらー…。
始めの小さいドロップはドアロックアクチュエーターでロック(x4pcs)した時のドロップ、
次の大きいドロップはハザード(1回点滅)です。
セキュリテイの常時電源ラインからハザード全ての電球へ電流が流れている為です。
前21Wx2 + 横5Wx2 + 後21Wx2 (+α) = 94W、約8A。
これが誤動作の原因かどうかはわかりませんが、正しくはないので改善します。
セキュリティの中のハザード用のリレーを、別電源からとる様に変更します。
このセキュリティはハザードにプラスを入れるかマイナスを入れるかの設定を、
ヒューズ取付位置で変更出来る様になっているので、
そこから別電源を入れてあげます。
別電源は、純正のハザードと同じ所からとります。
これで電源電圧のハザードによる大きいドロップは無くなったハズ。
ハザードによるドロップは小さくなりました。また様子見です。
2016-4、まだ誤動作します。
今度は振動センサーの波形を見てみます。
通常のショックセンサーが反応する様なショックを与えてみた時。
20ms/div、50mV/divです。100mVp-p、73Hzの波形が見えました。
それに対して、セキュリティONでハザードのリレーが動作した時のノイズ波形は、
100us/div、50mV/divです。250mVp-pのノイズが見えます。
時間は短いですが電圧は大きく、これが誤動作の原因かもしれません。
普通はもうちょっとディレイをもってセキュリティが動作を開始すると思うのですが、
もしそうでなければプログラムを解析して書き換える事も出来ないので、
ノイズが小さくなる様になんとかするしかありません。
そもそもコイルを使った振動センサーのすぐ横にリレーを配置している意味が判りません…。
これ、本当に評判の良い製品なんでしょうか?
ノイズ源と考えられるリレーを本体から出してみます。
誤動作しなくなった様な気がします。また様子見。
2016-10、誤動作無くなった様ですっ。やったっ。原因確定です。リレーからの電磁ノイズでした。
ただこのままだと美しくないなぁ…。
で、リレー(+ダイオード←重要)を一個ハザードスイッチ部に追加しようかと。
大電流が流れる経路は短い方が良いので。
更に念の為セキュリティ本体のリレーをソリッドリレー(FET)化して本体に内蔵してみます。
回路はこんな感じ。
リレードライバのULN2003の出力からPchトランジスタを経由してNchFETをドライブ。
Pchトランジスタは2SA1037を使いましたが、小信号用の何でもよいです。MMBT3906とか。
ハザードスイッチの所に置いたリレーのコイルの一端をプラスに接続、
コイルのもう一端をセキュリティ本体の中でFETでGNDに落とす事とします。
これで振動センサーの横で電磁ノイズが出ない事になります。
↓
FETはリレーのコイルの電流150mA程度しか流さないので1個でも十分なのですが、
一応8A流しても大丈夫な様に2パラとしました。
この改造以来、誤動作は一度もおきていません。成功です。
結論としては、ハザードの配線は内蔵のリレーにハザードの大電流を流さないで、
ハザードスイッチの所に別にリレーを置けば大丈夫なのではないかと思います。
2016-10、ここからやっと。本題の、リモコンエンジンスターターとの併用です。
Viper 330V には、セキュリティON中にリモコンでトランクを開けた時に、トランクを閉めるまでの間、
トランク開検出による警報、ショックセンサーによる警報をバイパスする機能があります。
設定の変更により、全ての警報をバイパスする様にも出来ます。
リモコンエンジンスターターが動作している時に出す信号を加工して、リモコンによるトランク開を検出してもらう事とします。
設定も全ての警報をバイパスする様に変更します。
そうしないと、H1/9につないだイグニション信号(私はAccにつないでいます)が反応して警報が鳴ってしまいます。
リモコンによるトランク開は次の2種類の信号で検出しています。
H2/5 Sensor Shunt Input トランクを開ける電磁ソレノイドの信号を入れます。
H1/6 Instant Trigger (Trunk) トランクの照明の信号を入れます。
H2/5に12Vのパルスが入った後、H1/6が12V→0Vになる事により、トランク開くを検出します。
こんな回路にしました。
Pchトランジスタは2SA1037を使いましたが、上記同様小信号用の何でもよいです。MMBT3906とか。
ダイオードはPanasonicのMA111を使いましたが、こちらも小信号用の何でも良いです。MBR0530とか。
H1/6にリモコンエンジンスターターからの信号を入れてやり、
そこからH2/5に入れてやるパルス信号を作ります。
H1/6の信号が入る、330VのPIC16F77の入力部には、コンデンサを入れてやりディレイをかけてやります。
H2/5の信号を検出した後にH1/6の信号を検出してもらう必要がある為です。
0.8V以下でLOWを検出してくれる様です。
この状態での波形はこんな感じになりました。
1ch(赤)がH2/5のパルス信号、
2ch(黄)がPIC16F77の入力信号です。
1chのパルス信号は350ms出る様にしてあります。
100ms以下では検出出来ませんでした。マージンをもって、350msとしました。
この状態でトランク開を検出してくれます。
トランク開を検出して全ての警報をバイパスした後にAccがONになります。
1ch(赤)がH2/5のパルス信号、
2ch(黄)がH1/9のAcc信号です。
誤動作は今の所、一度もありません。
→1年以上使って誤動作は1回も無かったのでこれで完成とします。