National NR-F531T-SR

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2007年製。私の実家の冷蔵庫です。525Lです。

製品概要やスペック、取扱説明書はこちらです。

 

2019-1、故障しました。

症状は、冷蔵庫、野菜室が冷えすぎる。

凍ってしまっています。卵とか破裂してしまっています。

11年物の冷蔵庫なので、これを機会に買い替えを検討する方法もありますが、

もし簡単に治るのであれば、という事でとりあえず状態を見てみる事にします。

こんな大きな廃棄物は環境負荷が大きいですからねぇ。

 

冷蔵庫の基本的な構造として、冷凍室の奥にエバポレーターがあって、そこで冷気を作ります。

冷凍室はもちろんその冷気で冷やす訳ですが、

冷蔵室、野菜室等は、冷凍室で作った冷気をFANとダンパーで調整して各部屋へ送り込んでいます。

今回はこの調整機能が故障している事になります。エラー表示はありません。

 

原因として考えられる事はふたつあります。

この11年間、ずっとレベル中で稼働していたのに事情があって一時的に強にしたそうです。

今まで中開きで固定されていたダンパーが11年ぶりに突然全開になった事により、

サビや汚れ等でひっかかってしまって戻れなくなってしまった。とか。

いや多分フィードバック制御でそんな事は無いだろうなぁ…。

もうひとつの考えられる原因として、汁物を冷蔵庫の中でこぼしてしまったらしい。

ジップロックできっちり口を締めたハズだったのに…って言ってました。

それがダンパーの方へ流れ込んでしまった場合、

ダンパーから先は冷凍庫なので、汁物等の液体は凍ってしまいます。

凍った汁物がダンパーの動きを妨げているのでは?

でも冷蔵庫の中で液体をこぼしてしまうなんて事は設計段階で想定できる訳で、

それがダンパーの方へ流れてしまう設計にするのだろうか?天下の松下電器が。

ちょっと疑問ですが現状そっちの可能性の方が高そうです。

 

分解してみます。冷蔵室の中身を全て出し、奥の板を外します。

その為には下記樹脂ボルト2本を外す必要がある様です。

電源は入れっ放しです。

手で回してみても回る気配がありません。webでこのボルトの構造を調べてみても情報が見つかりません。

壊す覚悟でモンキーで(もちろん左に)強めに回してみたら、回りました。半周回って外せました。

ボルトではなくクリップですね。

奥の板を外します。

奥の下の方に冷気の入口が見えます。

奥の板の裏側は、上写真の様になっていました。

冷蔵室の冷気入口から、FANの力で上の方へ冷気を導いて、上から冷蔵室内へ流れ込みます。

空気は冷えると体積が小さくなるので、重くなり上から降りてくる事になります。

ちなみに昔の冷蔵庫はFAN無しでも冷気が上から降りてくる様に、

冷凍室が一番上にあるのが当たり前でした。

 

奥の下の方の冷気が入ってくる穴の下にダンパーがあるハズです。

覗き込んでみるとダンパーとその周りに茶色い塊がある様にも見えますが、あんまり良く見えません。

どうやってこの塊を取ればいいんでしょうか?

冷蔵室の底板は構造的に簡単に外れません。

ダンパーが故障するなんて充分想定出来る故障なので、

サービスマンがメンテする為にダンパーが簡単に取り外せる構造になっているハズです。

下から攻めるのでしょうか?

冷蔵室の下の製氷室と切換室の引き出しを取り出してみますが、奥が分解出来る構造には見えません。

更にその下の野菜室と冷凍室の引き出しも取り出してみます。

ここまで電源入れっ放しで作業していたのですが、

冷凍室を開放してしまうとエバポレーターが霜だらけになってしまう事が予想出来るので、

ここでやっと電源を切る事にしました。

野菜室の底板(=冷凍室の天井)は簡単に取り外せました。

野菜室と冷凍室の奥の板も外します。

奥の板の裏にはFANが付いていました。

エバポレーターが見えてきました。

この冷蔵庫の心臓部です。この冷蔵庫の全ての冷気はここで作り出しています。

エバポレーターの上にある冷気のダクトから茶色い塊が覗いています。

既に溶けかかっていたので、ここから塊を取り出す事が出来ました。

これでダンパーの動きを妨げる氷は無くなりましたが、

せっかくなのでダンパーを取り出して掃除したい所です。

が、冷凍室側からもダンパーを取り出せる様には見えません。おかしい。

やはり冷蔵室側から取り外せる様になっているのでしょうか。もう一度見てみます。

なんと発泡スチロールの一部が取り外せる様になっていました。

テープで綺麗にシーリングしてあったので気が付きませんでした。

これでやっとダンパーが取り外せます。

取り出したダンパー。開いた状態です。掃除後です。

これが生きているのか死んでしまったのか確認がとれません。

動かそうとしても氷に妨げられて動けなかったので、壊れてしまっている可能性も無くはありません。

とりあえず今回の修理では動作確認しないで、壊れていない前提で掃除だけして元に戻して様子見とします。

もしこれで冷蔵室がまだ凍るようであれば、ダンパー、ダンパー駆動回路又は制御回路の故障となります。

 

3日後。冷蔵庫は凍らなくなったそうです。修理完了。よかった。

今回の故障の原因は、冷蔵庫内で液体をこぼした事によりダンパーが凍ってしまい、

温度調整が上手く出来なくなってしまったという物です。

冷蔵庫の中身がそれ程多くないのであれば、電源を落として扉を開けて、

3日もすれば氷は溶けて修理完了という方法もあったと思います。

うちの実家の冷蔵庫はいつもぱんぱんなのでそういう訳にもいかず、3時間程で修理完了となりました。

同じ様にすぐに直す必要がある場合は、

上記の様に冷蔵庫の奥のダンパーにアクセスして氷を取り除く事で修理出来る可能性があります。

 

 

 

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